運動療法は食事療法と並んで糖尿病治療の基本となるものです。
肥満の解消だけではなく、インスリンの効きをよくしたり脂質代謝を改善するなど、さまざまな効果があります。
運動を行うことの効果として最初に思い浮かべるのが肥満の解消だと思います。
確かに肥満は、日本人の糖尿病の多くを占める2型糖尿病の最大の要因です。
そして、その肥満は食べ過ぎと運動不足がもたらしたものです。
食事療法でエネルギーの過剰摂取を抑えるとともに運動で消費していけば、おのずと肥満は解消され、糖尿病の改善に大きく役立ちます。
運動療法の効果
・ブドウ糖の利用が増え、血糖値が下がる
運動を行うと、筋肉でエネルギーが消費されるため、血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれるようになります。
このとき健康な人では肝臓からグリコーゲンが放出されるので血糖値に変化はありませんが、糖尿病の方などはブドウ糖の筋肉への取り込みが急速なので血糖値が下がっていきます。これを運動による急性効果といいます。
インスリン抵抗性のある方が運動をするとインスリン受容体の数が増えたり受容体の働きが活性化することが知られています。
これにより細胞内でのインスリンの作用が高まり血糖値が下がります。
運動をすると脂肪もエネルギー源として使われるため、血液中の中性脂肪が減り、動脈硬化の進行が抑えられます。
また、運動により動脈硬化を防ぐ作用のあるHDLコレステロールが増えることも分かっています。
・筋肉が増え、基礎代謝が高まる
エネルギーを消費する最大の組織が筋肉です。運動によって筋肉の量が増えると基礎代謝が高まり、安静時でも脂肪が燃焼されるようになります。
そのため運動を続けることによって太りにくい身体をつくることができます。
以上のほかにも、血液の循環がよくなる、心肺機能が高まる、体力の向上、ストレス解消など糖尿病の治療にとどまらず、健康的な生活を送るための総合的な効果が期待できます。
糖尿病の改善に有効な運動として
有酸素運動はウォーキングやジョギング、水泳などの全身運動。
無酸素運動は、ダンベルなどの重りで筋肉に負荷をかけるもので、いわゆる筋トレです。有酸素運動は筋肉への血流を増やし、ブドウ糖を筋肉に取り込みやすくし、インスリンの働きがよくなってきます。
筋トレで筋肉が増えるとやはりインスリンの効果が高まります。運動の効果は3日程度で失われてしまうため、長く継続できることが大事です。
したがって、有酸素運動を中心に継続することを目標にするといいでしょう。まずは散歩を日課にするというところからはじめたらいいでしょう。
散歩ならどの程度歩けばいいのでしょう。
消費エネルギーから考えれば1日160〜240kcalの消費が理想的だといわれています。
これは歩数でいえば1万歩です。なかなかハードルが高そうですね。
ただ、まとめて1万歩歩く必要はありません。
15〜30分の歩行を1日2回行ったり、毎日でなくても、1週間に3日以上の頻度で行うことが推奨されています。通勤や通学、買いものなどで歩くことも多くなります。
消費エネルギー100kcalとなる運動の種類と時間
(体重60kgの場合)
軽い運動
軽い散歩30分前後、軽い体操30分前後
やや強い運動
ウォーキング(速歩)25分前後
自転車20分前後
ゴルフ20分前後
強い運動
ランニング(強い)10分前後
自転車(上り坂)10分前後
テニス10分前後
とはいえ運動は有効な改善策ではありますが、正しく行わないと十分な効果が得られないばかりか、健康を害したり糖尿病を悪化させることにもなりかねません。
たとえば、血糖コントロールの悪い人が運動をすると、かえって血糖値が上がってしまうことがあります。
尿にケトン体が出るほど状態が悪い場合にはケトン性昏睡を起こすこともあり危険です。
また進行した網膜症や腎症などの合併症のある人や足に障害のある人、狭心症などの心臓疾患を抱えている人などは激しい運動は禁止されています。
このように運動はやり方しだいで薬にも毒にもなる諸刃の剣であることも理解しましょう。
運動を効果的かつ安全に行うためには
①運動の種類
②運動強度
③継続時間
④実施時間帯
⑤運動頻度
が重要となってきます。
糖尿病の疑いのある方や、すでにかかってしまっている方は運動を始める前に必ずお医者様の診断を受けて許可を得てからにしましょう。
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